外来日帰り手術

肛門手術

痔核手術

現在一般に行われている痔核(いぼ痔)の手術はメスで切除する結さつ切除術とジオンという薬剤を注射する硬化療法のいずれかか、両者を組み合わせた併用療法です。痔核は肛門と直腸の境界にある歯状線より直腸側にできる内痔核と肛門側にできる外痔核、両者があわさった内外痔核があり治療法が異なってきます。

結さつ切除法とは、肛門上皮や直腸粘膜下にある痔核組織(静脈瘤)を皮下や内肛門括約筋から剥離して、痔核に流入する動脈とともに根部を結さつ(しばること)してから切除する方法です。切除するため切開した肛門上皮、直腸粘膜はほとんど縫合して(半閉鎖)外側にドレナージ創という小さな傷を残すのが一般的です。結さつ切除法は内痔核、外痔核、内外痔核のいずれの痔核でも行うことが出来ます。

一方ジオン治療とは一般名ALTA(硫酸アルミニウムカリウム水和液とタンニン酸)という薬剤を痔核内に注射して痔核を硬化縮小させる治療法です。このジオン治療の適応は「脱出を伴う内痔核」、すなわち排便時や普段のときに

内痔核が飛び出して自分で押し戻さなければならない脱肛状態の場合です。またジオンは血流を低下させる作用がありますので、出血が多いときにも有効です。ただし基本的には内痔核に対する治療法ですので外痔核は適応外で、内外痔核の場合は結さつ切除との併用療法になります。ジオンの利点は注射をするだけですので、手術時や手術後の痛みがほとんどなくすぐに通常の生活が送れることです。ただし結さつ切除に比べると根治性に劣り再発することも時々あります。再発した場合は再度ジオンを行うことも可能です。またまれに直腸潰瘍や直腸狭窄を起こすことがあると言われています。

痔ろう手術

痔ろうとは、直腸と肛門の境界の歯状線にある陰かというくぼみが深くなっておきる疾患です。痔ろうはトンネル状に深くなり、皮下や括約筋の間に膿のたまりを作ります。これが肛門周囲膿瘍で切開排膿が必要になります。肛門周囲膿瘍が出来るということは痔ろうがあるということですので、膿瘍が落ち着いてから痔ろうの根治術を行います。

痔ろうの手術は痔ろうの存在する深さと肛門の前方か後方にあるかによって方法が異なってきます。痔ろうのうち約80%は低位筋間痔ろうといって、内、外肛門括約筋の浅い部位を通る型です。低位筋間痔ろうで肛門の後方にある場合は痔ろうの入り口である陰か(1次口)から皮膚に開口している2次口までを切開し全開放する切開開放法を行います。この際、外括約筋の一部と内括約筋を痔ろうとともに切開することになりますが、後方の場合は括約筋の機能を損なうことはほとんどないと言われています。一方、肛門の側方や前方にある場合は切開開放法を行うと括約筋の機能障害や肛門の変形をきたす可能性があります。この場合は一次口から2次口までゴムひもを通してゴムを締めることによって痔ろうを切開するシートン法を行っています。なかなか想像しにくいと思いますが肛門の縁に輪ゴムがついている状態になります。このゴムを時々締めることによって痔ろうを切開するのですが、治療期間が2ヶ月程度かかります。このほか痔ろうを完全にくりぬく括約筋温存術がありますが、再発の問題があります。

裂肛手術

裂肛とはいわゆる切れ痔のことです。排便時に痛みがあって少し紙に血がつくというのは誰でも経験することではないでしょうか。一時的な浅い裂肛であれば軟膏などの保存的治療ですぐになおりますが、傷が深くて治らない慢性裂肛の場合手術の適応となります。慢性裂肛の原因は便秘のことが多く、排便のたびに硬くて太い便のために肛門が裂けてしまいます。排便時の痛みが強いために患者さんは排便を躊躇しさらに便秘が悪化、次の排便で裂肛の傷がより深くなるという悪循環を生じます。さらに本来排便時に弛緩する肛門括約筋が常時緊張した状態になるため肛門狭窄が生じます。このような状態になると排便が困難になりますので手術を考慮します。手術は通常、側方内括約筋切開法(LSIS)という方法で行います。これは肛門上皮の下で側方の内括約筋を一部切開する方法です。手技は簡単で効果は大きいので、今まで排便に悩んでいた人には術後大変喜んでいただける方法です。ただし逆に括約筋の機能を損ねる可能性があるので括約筋の切開は必要最小限としています。また裂肛の部位は小範囲のドレナージ創を加えることで治癒します。

以上当院で日ごろ行っている肛門手術について説明しました。
受診されたときには状態により最適な治療法を選択しより詳細にご説明いたしますので安心して御来院下さい。